Professor Kitanaka 〜北中先生ご紹介〜

教授紹介

パンダ

好きな動物:パンダ

      

北中淳子 Junko Kitanaka

慶應義塾大学 文学部 人間科学専攻 准教授

    

【専門分野】

医療人類学・心理人類学・多文化間精神医学

 (KEYWORD:医療,精神医療,医療史,人類学)

    

【現在の研究課題】

鬱と自殺の医療人類学

(KEYWORD:鬱 , 自殺 , 精神医療) 【分類】個人研究

    

【所属学会・団体】

多文化間精神医学会,日本精神神経学会,精神医学史学会

【主要著作・論文】

  • ・Society in Distress : The Psychiatric Pyoduction of Depression in Contemporary Japan.(マッギル大学人類学部。医療社会研究学部博士論文 2006年)
  • ・「鬱の病」(北澤・栗山編『近代日本の身体感覚』青弓社,2004年)
  • ・「『神経衰弱』盛衰史」(『ユリイカ』第36巻第5号,2004年)
  • ・「『意志的な死』と病理の狭間で:自殺の医療人類学」(『三田社会学』第8号,2003年),
  • ・「Empathy(共感)の変遷とアメリカ精神医学の変貌」(『こころと文化』Vol.1,No.1,2002年)
  • ・「トラウマ再考」(『文化とこころ』Vol.3,No.4,1999年)

ほか

 

先生からのコメント(2007年度人間科学入ゼミ案内より)

研究領域・研究対象について

 医療人類学の立場から、主に精神医学、多文化間精神医学、精神医療史の領域で研究を進めています。医療人類学とは「病」や「健康」、「正常」や「異常」といった概念や、それをめぐる治療実践が、文化や時代によってどのように変化してきたのかを探求する学問です。その中でも、特に私が専門としているのが現代日本における「こころの病」です。北米において、社会学者P.Rieffがセラピー文化の台頭と、その言語が生み出す「心理化」の現象について警鐘を鳴らしたのは1960年代でした。他方日本では、精神的な病をスティグマ化する時代が長く続いた結果、自己の問題を精神医学的言説で語ることは、長い間、忌避されてきました。

 この状況が、現在大きく変わりつつあります。いわゆる自分探しブームを経て、こころの病といわれるものを、自らのものとして語る契機が生まれようとしています。その際たるものは現在の「うつ病」ブームでしょう。「鬱」が病として認識されることの少なかった日本で、いまなぜ、これほどの数の人々が「うつ病」を名乗り始めているのでしょうか?「こころ」が薬やセラピーによって治療されるものとして語られるようになった結果、北米で起こった心理化の時代が日本にも訪れるのでしょうか。「鬱」をめぐる文化現象がもたらす意味を、人類学的な視点から明らかにすること――これが現在の私のテーマです。

    

ゼミに関して

 私個人の研究としては、精神医学領域・精神医療史に特化していますが、ゼミでは広範囲なトピックをあつかっています。

ゼミ生の関心・リクエストに沿って「狂気の歴史」「(教育現場や職場での)心の管理」「身体論」「先端医療」「テクノロジー論」といったテーマで毎週文献を読み、

現代日本の様々な現象を人類学的に分析しています。

 レジメを作成し、発表、討論する形式ですが、対話を通して思考を深め、自己を表現できるようになることを目指しています。

まだ新しいゼミですので、ゼミ員の皆さんと一緒に文化を創り上げていきたいと思っています。    

 

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